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全国大会東京都予選3回戦。相手は本郷高校。新人戦で東京都優勝。春季大会でも東京都優勝。文字通り現在東京都で一番ラグビーの強いチームである。
しかしこちらも主将である世古が、ついに半年間のリハビリを乗り越えグランドに戻ってきた。この日のために、1ヶ月必死に練習してきた。全ては本郷に勝つために。怪我に泣かされ続けた62代目の3年生たち。今日が初めて全員でファーストジャージを着て戦う試合であった。

マイボールでキックオフ。

本郷は予想通りハイパントで攻めてきた。しかし我々は練習を重ねていた。キック処理はしっかりこなし、大型FWの攻撃にもタックルを突き刺していた。

3分。ラインアウトから、本郷は左へ展開。SO中田が抜群のジャッカルでこれを奪い取るが、こぼれ球を拾われ、最後はサイドを破られトライ。0−7。

8分。その後は法政もよく凌いでいたが、ミスからボールを奪われハイパント攻撃を受ける。これをFB杉山が必死に拾って蹴り返すも、流れるようなカウンターアタックでインゴール左隅まで持っていかれてしまう。0−14。

その後も本郷の猛攻を受けるが、自陣に釘付けにされながらも法政は必死に耐える。

18分。法政は自陣ゴール前でペナルティーを犯し、ここで本郷はスクラムを選択。No.8が強力なエイタン攻撃をしかけ、法政DFはこれを止められなかった。0−19。

本郷は一人一人が非常に強く、試合開始直後はよく刺さっていた法政のタックルも、徐々に決まらなくなる。

22分。本郷の分厚い攻撃の前に、 法政はポイントに人数をかけざるを得なくなり、DFが寄ったところで外に展開。トライを奪われる。0−26。

26分。この時間になって法政は初めて大きなチャンスを迎える。この試合初めて本郷陣22mの中に入ると、全員で体を張って少しずつゲインを重ねていく。しかし本郷DFの壁は厚く、ゴールラインへたどり着かせてはくれない。CTB星谷がDFの隙をついてゴロパンの攻撃を仕掛けるも、本郷FBに抑えられドロップアウトになる。ここで法政DFの切り替えが遅く、本郷はドロップアウトをマイボールにし、これをきれいにつなぎ始め、最後は14番にインゴールまで走りきられてしまった。0−33。

それでも法政はあきらめず最後まで攻め続けたが、ここでハーフタイムとなった。


気合を入れなおして再びグランドに出て行く法政フィフティーン。

1分。いきなりのピンチ。自陣5mでの本郷ボールスクラム。10番に両センター星谷・吉野の間にできたギャップを突破されトライ。0−40。

その後は法政も反撃を開始し、本郷陣で戦いを繰り広げる。しかし本郷のDFはなかなか突破できない。

9分。本郷のハイパン攻撃は一貫しており、ここで生まれたブレイクダウンをターンオーバーされる。そして左サイドに大きく展開されトライ。0−45。

しかしそれでも法政は折れなかった。本郷の大型FWを相手にしても、スクラムは一切押されない、モールも食い止める、そしてブレイクダウンでも奪われないどころか、逆にターンオーバーする場面され生まれていた。
だがそれでもトライは奪えない。

20分。本郷FWにゴリゴリ出られDFがひきつけられて外にトライ。0−50。

法政はここでLO太田を投入。3年生全員で戦う。

25分。1対1が止まらなくなり始めた。止めても繋がれゲインされる。そしてそのままトライまでいかれてしまった。0−55。

しかしそれでも法政はあきらめなかった。そして今度こそそれが実を結んだ!

29分。法政は最後まで足を止めず前に出続ける。疲れの見えた本郷はジリジリと下がり反則を繰り返した。時間はもうほとんど残っていない。このペナルティーをタッチに出さず、法政は全てハリー攻撃で突っ込んだ。FB世古が大きくゲインし、ここで得たペナルティーを再度ハリー。そしてまたも反則の笛が鳴った瞬間、No.8高橋はすでにボールをタップし走り始めていた。残り20mを一気に走る。本郷DFに捕まり倒されるも、既にそれはインゴールの中であった。トライ。言葉にならないほど感動するトライであった。5−55。

29分。ロスタイム。本郷のPGが決まると同時にノーサイド。5−58。



完敗であった。やはりチャンピオンは強かった。しかし、今日の法政の選手たちを笑う人間は誰一人いないだろう。何本トライを奪われても決して下を向かず、最後まで声を出して走り続けた。そして最後にトライを奪った。あのトライが決まったとき、観客席の全員が喜んでくれていた。あそこで5点奪ったところで、勝敗は変わらない。それは誰もがわかっていたはずだ。でもそこにいた全員が大歓声を上げてくれた。それは感動してくれたからだと思う。最後まであきらめない姿、そしてそれを実現したあの姿勢に、みんな感動してくれたのだと思う。
このチーム最後となった試合で、人の心を打つような試合ができたこと、監督として誇りに思う。よくやってくれた。ありがとう。


思えば今年の3年生は怪我だらけだった。中学時代に東京都で準優勝し、東日本大会でBEST8に入ったメンバーがそのまま高校でもラグビーを続け、それに高校から入った仲間も加わり、1年生時から何人もレギュラーに選ばれるなど、期待をされた代だった。しかしこの一年のあいだ、大怪我を追う選手が続出し、この試合が3年生全員で出場した唯一の試合になってしまった。怪我さえなくチーム力が伸びていけば、と思ったことも正直あった。
しかしこれがラグビーだ。怪我はつきものだしタラレバなど存在しない。それよりも、全員で力をあわせて今日のような素晴らしい試合をすることができた、それが何より素晴らしいこと大事だと思う。


この場をお借りして3年生たちに一言ずつ言いたい。

藤代達也
チーム一良い体をしているアキバ系。色々バカなこともしたけど、この一年間どのチームにもスクラムを押されなかったな。すばらしいプロップだった。

佐藤匠
小さい体でチームを支えてくれた。体を張ってプレーしてくれていたが、しょっちゅう脳震盪を起こす匠が心配だったよ。しっかり休めよ。

太田啓翔
心の優しいラガーマン。強くなりたいと言って入部してきた啓翔。強くなったよ君は。いっぱい怪我をしたけど、この3年間は必ず啓翔の財産になるはずだ。

高橋湧
ある意味一番怪我に泣かされたのは君かもしれない。足が痛くない日、怪我を不安に思わない日、一日もなかっただろう。でも最後のトライ、俺は一生忘れない。

北智典
本職ではなかったSHというポジションを、一年間守り抜いてくれた。辛かっただろう。でもこの一年間全試合で9番を背負った北が、このチームの正SHだよ。

中田拓夢
寡黙な仕事人、そんなイメージはもはやない。世古の分もと思ってグランドで部員を引っ張る姿、嬉しかった。骨折病も治ったみたいだな。

吉野裕貴
バンビのような目をした心が清らかな男。しかしプレーは熱かった。3年間、痛いとか辛いとか口にしたことは無かったな。根性の塊だな、吉野は。

秋谷悠太
チーム一のお調子者。夏合宿では毎年お前を一番怒ったな。チームのために手術せずに酷使した肩はもうボロボロなはずだ。休ませてやってくれ。

世古陽泉
偉大なるキャプテン。そして泣き虫なキャプテン。自分にも人にもこれだけ厳しくそして暖かくすることができる君を、この62代目の主将にしてよかった。ありがとう。

大出愛子
ラグビー部に突如現れたマドンナ。いつも水を運んでくれていっぱい声出して選手を励ましてくれて、本当にありがとう。愛子もこの63代の一員だからな。


みんな、本当によくがんばったな。お疲れ様。まずはゆっくり休め。それからまた後輩たちをグランドで鍛えてやってほしい。そして卒業してもたまにはグランドに遊びに来てくれ。そして俺に元気な顔を見せに来てくれ。お前たちは一生オレの教え子だ。



法政

1
藤代 達也
3
2
宮本 廣樹
2
3
佐藤 匠
3
4
高柳 勇斗
2
5
井上 真一
2
6
小津 久典
2
7
平野 睦
2
8
高橋 湧
3
H
9
北 智典
3
10
中田 拓夢
3
T
B
11
杉山 了伍
2
12
星谷 孝太朗
2
13
吉野 裕貴
3
14
秋谷 悠太
3
FB
15
世古 陽泉
3



16
松井 貴大
2
17
太田 啓翔
3
18
小野 大介
1
19
高野 祐一
2
20
末吉 恵大
1
21
青木 智史
1
22
清水 虹輝
1
23
倉本 拓周
2
24
出野 拓
1
25
木山 拓則
1
法政
本郷
5
4
PG
DG
0
前半
33
1
4
1
PG
1
DG
5
後半
25
5
合計
58

交代
入替
後半20分
5 → 17
入替
後半25分
11 → 23