GAME07

ついにこの日を迎えた。全国大会東京都予選1回戦。相手は武蔵野東。常日頃一緒に活動させていただくことが多く、つい先日もともに練習をし、部員手作りの食事までいただいた。負ければ3年生は引退という試合で、仲間であるチームとそういう戦いをしなくてはならないのは複雑な心境ではある。しかし、全力で戦うことが、最大の恩返しと思って選手たちはグランドに出て行った。
伊藤のためにも･･･。

1年間チームを引っ張ってきた伊藤主将が、怪我のために出場できない。大黒柱となってチームを支えてきた中田もやはり怪我のためにグランドに立つことが出来なくなった。そのほかにも何人か怪我に泣いてる選手がいた。
部員たち全員で、彼らの想いを背負ってプレーするために、青いリストバンドを用意していた。32人全員で戦うんだという仲間の想いは、きっと彼らに届いていただろう。全員が左腕にリストバンドをつけ、伊藤と固い握手をしてグランドに出て行った。

青い空の下、マイボールでキックオフ。ついに全国大会へ通じる最後の戦いが始まったのだ。

キックオフと同時に法政は武蔵野東陣に攻め込む。しかし、武蔵野東の選手のタックルはすさまじく、22mの内側に入れない。一気の出足で先取点を奪いたかった法政は焦り、ミスを連発。試合はこう着状態のまま進むかに思われた。

9分。しかしここで試合が動いた。FWのゴリゴリ攻撃で相手ディフェンスを少しずつ下げ始めると、HO森田が力強い突破でついに22mの中深くまで攻め込む。そして薄くなったブラインドサイドを最後はLO鶴田が持ち出し飛び込んだ。トライ。ついに先制点を奪った。７－０。

14分。その後も法政は武蔵野東陣で試合を展開するも、武蔵野東はこれまでに対戦した時とは別人のようなすばらしいタックルを何度も突き刺してきた。しかしSO世古がボールを持ったときにわずかな隙が生まれ、世古がそこを見逃さずDFを切り裂いた。１２－０。

17分。法政はようやくリズムをつかみ始め、世古へのプレッシャーも少なくなってきた。ここで世古は右サイドへ大きなキックパス。相手にキャッチされるもボールを奪い返し、最後はWTB杉山がインゴールへと持ち込んだ。１９－０。

20分。この日伊藤の代わりに主将としてチームを引っ張るCTB神村が大きなゲイン。そしてこのボールをつないで、またも杉山が快足を飛ばしてトライを奪った。２６－０。

24分。世古のロングキックで大きく陣地を取り、そこへCTB星谷がナイスタックルでボールを奪った。ここでPR佐藤が一瞬開いたポイントサイドを突破し、トライまで持っていった。３３－０。

ここで前半終了。

後半も法政は攻撃の手を緩めない。

1分。武蔵野東DFのキック処理を、神村が火の出るようなタックルで止めボールを奪う。ここにFWがラッシュをかけ、ゴリゴリで前に出る。最後は世古が飛び込みトライ。４０－０。

7分。世古がまたも独走。インゴール直前で捕まるも、そのポイントからNo.8鈴木が持ち出し飛び込んだ。４７－０。

11分。左サイドで展開していた攻撃のときに、右サイドに一人だけ残ってボールを呼んだ選手がいた。WTB吉野であった。世古は迷わず逆サイドへロングパス。吉野はDF2人を抜き去り、トライ。５４－０。

17分。FWがスクラムを猛プッシュし、そのままの勢いでラッシュ。そのまま全員で押し込んだ。５９－０。

19分。ペナルティーを得ると、鈴木がハリー攻撃。相手のDFは間に合わずそのままトライ。６６－０。

24分。またもペナルティーを得ると、世古から吉野へとつないでトライ。７１－０。

ここでノーサイドの笛が鳴った。

まずは1回戦突破おめでとう。トーナメントであるため、勝たないと次に繋がらない。この試合でも多くの課題が見えた。我々には幸運にもそれを再度練習し克服するチャンスが与えられた。次の相手は合同H。同じく常日頃お世話になっている。明治学院東村山が率いるチームである。来週も厳しい試合になることが予想されるが、最後まで大きな声を出して戦ってくれた武蔵野東の選手たちのためにも、正々堂々思いっきりプレーをしてほしい。
そして偉大なるキャプテン・伊藤のためにも、彼をもう一度グランドに立たせるまで、勝ち続けよう。

がんばれ法政！！