GAME06

春季大会トーナメント3回戦。相手はシードの強豪・玉川学園。昨年関東大会に出場しているチームである。先週は強風に苦しめられたが、この日は風も弱く気温も高くない、ベストコンディションでの試合となった。2月に練習試合で対戦した時は勝利することができたが、あの時とはお互いチーム状況が変わっていることだろう。直前の試合では早稲田実業がしっかりしたラグビーで勝利していた。早稲田実業への挑戦権を得るのは果たしてどちらか。

マイボールでキックオフ。

立ち上がりは玉川学園に押し込まれる。以前対戦した時に比べブレイクダウンが非常に強くなっている玉川。効果的なキックも駆使しながら法政陣で試合を展開していく。何とか法政もアタックを仕掛けようとするものの、玉川のすばらしいタックルの前に、なかなかゲインを切ることができないでいた。それでも法政はこの日スタメンに入ったＰＲ石井の突破などで何度かチャンスを作るも、肝心なところでミスがあるなど、また戻されてしまう。こうして最初の10分は過ぎていった。

13分。法政は決定的なピンチを迎える。ＤＦラインのギャップを突かれ突破される。あわやトライというところでＦＢ深谷がタックル一閃。トライを割らせない。

15分。法政ボールラインアウトからビッグゲインで得る。ここでできたポイントからＣＴＢ高橋がクイックでインゴールに飛び込むも、惜しくもノーグラウンディング。

16分。ついにここで試合が動いた。
玉川陣5mでのマイボールスクラムという願ってもないチャンスを得た法政は、FWを中心にしてのゴリゴリ攻撃から深谷が突っ込む。そしてその後もFWが更なるラッシュをかけ、ついにボールをインゴールに着地させた。５－０。

21分。先制トライを奪ったににもかかわらず、その後も依然玉川ペース。しかしここのピンチを、怪我で長期間のリハビリから復活したLO高野などの体を張ったディフェンスで下がらない法政。そしてまたもチャンスが訪れる。

26分。ゴール前のポイントから深谷が縦にすばらしいスピードでカットインし、突破。そのまま玉川DFをかわしてトライ。１２－０。

29分。SO世古のロングキックが大きく伸びて玉川陣深くまで飛ぶ。さらにこのボールがラッキーな方向にバウンドする。そこに走りこんだのが高橋であった。玉川DFはまったく追いつけず独走のトライとなった。１７－０。

そしてここでハーフタイム。

法政にとってはすばらしい内容の前半であったが、相手はシード校の玉川学園である。これで終わるはずがなく必ず反撃をしてくるだろうことは予想できた。法政はこの3トライを守るのではなく、前半のように最後まで前に出ることが勝利への鍵であったはずだ。

後半も立ち上がりは一進一退。玉川の圧力に押し込まれるも、決定的なゲインを切らせない法政DFという構図で進んでいく。

10分。ここでついに玉川の反撃に得点を許してしまう。個々のタックルが甘くなってきた法政を前にして、玉川のパスが繋がりだした。ゴール前で数的優位を作られて最後は右隅に飛び込まれた。１７－５。

12分。先ほどのトライを皮切りに法政の足が一気に止まった。DFラインにギャップが生まれ、ここを面白いように抜かれる。１７－１２。

21分。法政の消耗は明らかであり、勢いづいた玉川を止めるすべがない。ここでもタックルに入れず次々に抜かれトライを奪われた。ついに逆転。１７－１９。

27分。最後の反撃を試みようとする法政であったが、玉川も最後まで攻めて来た。法政が自陣で不用意に犯した反則から、玉川は冷静にペナルティーゴールを狙った。これが成功して１７－２２。そしてこれがとどめの一撃となった。

ノーサイド。

前半の内容から考えれば、逆転負けをするとは誰しもが思わなかったはずだ。玉川の選手たちを除いては。彼らは最後まで勝利を信じて走り続けていた。法政は前半の点差を守りに行ってしまった感が否めなかった。完全にメンタル面での敗北である。それが非常に悔しい。

だがくよくよしてばかりもいられない。これで3年生に残された大会は秋の花園予選ただ1つとなってしまった。ここで負ければ引退。このチームは解散だ。そしてそこへ向けての戦いはもう始まっている。玉川に負けたノーサイドの笛が、秋に向けてのキックオフの笛なのである。春の大会を通して大きく成長した部分もあった。観る人を感動させる試合をすることもできた。関東大会には行けなかったが、収穫の多い春だったではないか。ここで得た経験と悔しさを忘れることなく持ち続けてほしい。ここからもう一度やり直して、ぜひとも秋にはいい結果を残し、できればこのチームで正月まで一緒にラグビーをしよう。

がんばれ法政！！