GAME02

新人大会トーナメント1回戦。これに勝てば東京都のベスト8に入ることになり、春の大会のシード権を獲得することができる。しかし相手は古豪・目黒学院。全国制覇をすること実に５回。３年前、門倉率いる５７代も花園予選で対戦しあのエンジのジャージの前に涙を飲んだ。
毎年のように大きなFWがモールを作って攻めてくる。分かっていても止められなかった。だが、法政もずっと厳しいガチンコ練習を積み重ねてきた。今年こそは。

チャレンジマッチとは打って変わって、快晴の空の下、キックオフ。

序盤は目黒ペース。FWはよく持ちこたえていたが、BKがキック処理を誤るシーンが目立ち、前に出ることができない。常に法政陣でゲームが展開され、ペースを握ることができない。そして先制点はやはりキックからであった。

7分。相手の執拗なキック攻撃の前に前に出られず、気づけばボールは自陣5mのヤーボスクラム。ここから目黒の強力FWがゴリゴリ前に出てプレッシャーをかけてくる。ついにはインゴールまで押しこまれてしまった。０－７。

11分。目黒伝統の強力FWによるモール攻撃。しかし法政は小さい体でも激しいディフェンスでゲインを許さない。しかしここで目黒はモールを諦め徹底したサイド攻撃に切り替えてくる。これには法政のディフェンスもたまらず下がり、ついにはペナルティーを犯してしまった。これを機敏な目黒1番に飛び込まれてしまう。０－１４。

しかしこれで終わってしまうほどヤワな練習をしてきた法政ではない。タックルではよく止め、そこからターンオーバーを狙う。キック処理も落ち着きを取り戻し、だんだんと目黒陣で試合を展開できるようになって来た。法政のトライはまさにその流れの中から生まれた。

14分。接点でボールを奪った法政はSO世古にボールを渡す。世古は俊足を飛ばして22mの中まで突破。相手ディフェンスに捕まるも、そこからFWが猛然とラッシュ。8人全員が体を張ってボールをキープし続け、目黒に負けないゴリゴリのアタックを見せる。数センチずつしか前に出れないが、それでも諦めずゲインを重ね、ついにボールがインゴールを割った。FW全員のトライであった。５－１４。

その後も圧倒的にボールを支配し責め続けるが、あと一歩得点には届かず、ハーフタイムへ。

後半も完全に法政ペース。
開始早々怒涛の攻撃を展開する。

5分。敵陣奥深くまでボールを運ぶことに成功し、FWがまたもゴリゴリで突破を図る。敵の意識がFWに集まったところで、今度はBKに展開。世古が個人技でしてディフェンスの間を抜け独走。そのままトライまで持っていった。１２－１４。

その後も法政の時間帯は続く。後半の25分を通じて、目黒が法政陣で攻撃を仕掛けられたのは数回だけであった。それだけ法政のディフェンスはよく前に出て、ボールを圧倒的に支配した。

15分。敵陣5mまで攻め込みペナルティーを獲得する。PGを狙って逆転をしておくという選択肢もあったが、FWがゴリゴリ攻撃を継続。しかしここで痛恨のノットリリースザボールの反則。結果論ではあるが、もしここでPGを蹴っておけば勝敗は違っていたかも・・・。

その後も法政は圧倒的に攻める。しかし目黒のディフェンスもさすがで、肝心なところではそうやすやすと突破を許してはくれない。

ラストプレー。自陣から世古がわずかなディフェンスの隙を突き突破。敵陣に入ったところで相手に捕まるが、左にサポートプレーヤーが。CTB高橋である。高橋へのパスが通ればノーマークでトライまで行ける。だが審判の笛が鳴る。スローフォワード・・・。

そしてここでノーサイド。

悔しい。非常に悔しい。内容は決して悪くなかっただけに、勝ちたかった。だがこれが勝負の世界。1点差であろうと100点差であろうと負けは負けだ。法政より目黒の方が強かった、それだけのことだ。
これで春季大会のシードはなくなった。関東大会に出場するためには4つ角の第1シードを喰うことが必要になってくる。しかしいずれは倒さなければならない相手だ。もうウチには守るものはない。挑戦者の気持ちを忘れずに、この悔しさを忘れずに、この冬を乗り越え春を迎えてもらいたい。下を向いてる時間はない。

がんばれ法政！！