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全国大会東京都予選。3回戦の相手は春季大会準優勝の明大中野高校。新人戦は東京都優勝。全国選抜大会にも出場し、関東大会でも大活躍していた。間違いなく強敵である。だが、この試合を迎えるに当たって諦める選手は一人もいなかった。勝つために練習をし、準備してきた。第2地区の優勝候補筆頭を倒せば、自分たちが花園にいける、そんな思いを持ちながら努力し続けた。やることは全てやった。あとは信じよう。

マイボールでキックオフ。それと同時にNo.8渡辺率いるFW陣が猛烈なラッシュをかける。見事ボールを奪い、いきなり明中陣奥深くまで攻め込む。相手DFが必死に前へ出てきたところで、ずっと練習してきたプレーを使う。SO世古からWTB伊藤へのキックパス。ボールは美しい放物線を描きインゴールへ飛んでいった。だが、あと数十センチ届かず、先制トライは奪えない。

しかしこの後も法政は明中陣で試合を展開する。相手のチャンスの芽を摘み取り、プレッシャーをかけ続ける、理想どおりの戦いを見せる。

8分。だが、ここでミスが起こる。明中陣でのマイボールラインアウトのチャンスで、FWの息が合わずボールを奪われる。そのボールを大外まで展開され、敵14番に60mを独走され先制トライを奪われてしまう。0−7。

12分。またしても相手に独走を許すも、FB深谷が目の覚めるような素晴らしいタックルを突き刺す。だが、そのボールをハイパントで上げたあとにチェイスしきれず、余ったラインに展開されインゴールまで持っていかれてしまう。0−12。

このあたりから東京都2位の実力がジワジワと感じられるようになってくる。タックルは強く、接点でも倒れない。ダブルタックルですぐにジャッカルにつなげてくるディフェンスに、法政は前に出れなくなっていく。

16分。ゴリゴリFWで前に出てこられ、最後はWTBへ。0−17。

23分。26分。29分。接点で負けてしまうために仕方なくポイントに入る人数を増やしたところで、サイドを抜かれる。そんなパターンで立て続けに3トライを追加されてしまい、前半は終了した。


36失点。

前半の立ち上がりを考えれば、想像以上に突き放されてしまった。
だが、ハーフタイムに主将であるFR河辺がチームメイトにゲキを飛ばした。『勝って笑って帰ろうぜ!』この声で法政は再び立ち上がった。


後半になっても出だしは明中の圧力に下げられる。

1分。ラインアウトのミスからフリーキックを相手13番にそのまま持っていかれてしまう。0−43。

その後も法政はあきらめずによく前に出る。ボールポゼッションだけで言えば、むしろ明中を上回っていたのではないだろうか。ただ、明中のDFは前半同様強力であり、攻め込んではカウンターでトライを奪われるという展開が続いてしまう。
4分。10分。12分。17分。とさらに4つのトライを奪われ気づけば67点という大量点となっていた。

しかし、法政は最後まで心が折れず本当によく戦った。最後の10数分はトライを奪われないどころか相手陣で攻撃を連続して展開し、相手がたまらずペナルティーを重ねるという状況であった。

だが、結局得点を奪えないままノーサイドの笛が・・・。



悔いがないといえば嘘になる。前半最初の3分間の攻撃がトライに繋がっていれば、全く違った展開になっていたとも思う。だが、勝負の世界にタラレバはない。俺たちは負けたのだ。勝った明中のほうが強かった、それだけのことだ。

でも、本当によくやった。思い返せばこのチームの結成当時はひどい状況であった。人数が揃わず新人戦は辞退。キャプテンは膝の靭帯を2本とも断裂し、高校ラグビーは終わったとも思われた。春季大会は1回戦で明八に敗退。リベンジをしに明八まで行っても返り討ちにあった。そこからよくここまで這い上がってきたよ。結局は大敗してしまったが、春の準優勝校相手に『もしかしたら・・・』と観ている人間全員に思わせるような試合をしてくれた。みんな感動していた。誰も君たちの事を笑っていなかっただろ?ちゃんと人に感動を与えるようなラグビーをできたじゃないか。俺は本当に誇りに思う。

本当にたくさんに人が応援に来てくれていた。校長、副校長、前校長、たくさんの先生、クラスメート、OBの方々、そしてお父さんお母さん。これだけの人たちに支えられていたことに感謝しよう。3年生の代にはお父さんが倒れてしまい、ラグビーどころか学校も去らなければならなかった仲間もいたんだ。思う存分この学校でラグビーボールを追いかけられたことを感謝しなさい。


3年生へ、たった5人しかいない代だったけど、俺は大好きな奴らでした。

満尾怜右
君は体は巨大だけど気の優しい男でした。ここまで先輩からも後輩からも愛され慕われた男はあまりいない。進路ちゃんと考えろよ。

村山航太
いつもお調子者でバカなことばっかり言ってたな。一番叱った。でも最後は頼れるリーダーになった。君はこの一年で一番成長した男だ。

渡辺祐志
一年生の頃は進級すら危ういと思った君が、まさか主務として下級生たちの面倒をこんなにきちんとそして厳しくしてくれるとは思わなかったよ。俺はずいぶん助けられた。

今井涼
体も心も繊細で、とてもラグビーは続かないんじゃないかと思った。でも副将としてまたバックスリーダーとして生意気ぞろいの下級生をまとめてくれた。怪我しても一度も休むことなく、最後までグランドに立ち続けた。よくがんばったな。

河辺賢人
もうできないかもしれないと思った高校ラグビーを最後全力でできてよかったな。みんなに厳しく、時には俺と衝突することもあったけど、それ以上に自分に厳しかったからこそみんな付いていったんだ。本当にご苦労さん。今はゆっくり休め。


みんなとラグビーできなくなることは本当に寂しい。でも素晴らしい思い出を分かち合えたからこそ、寂しさというのは募るものだ。俺は確信する。将来君たちの中に『法政でラグビーやってよかった』という気持ちが永遠に消えることなく残ることを。そしていつか子どもができたときに『父さんは昔ラグビーやってたんだよ』と胸を張って語ってくれることを。

いつでもグランドに帰ってきてください。ここのラグビー部員であったことは一生消えることはないのだから。

ありがとう。



法政

1
野越 雅史
2
2
森田 高州
2
3
満尾 怜右
3
4
村山 航太
3
5
高野 誠也
2
6
河辺 賢人
3
7
本橋 勇
2
8
渡辺 祐志
3
H
9
中田 拓夢
1
10
世古 陽泉
1
T
B
11
伊藤 了亮
2
12
今井 涼
3
13
高橋 湧
1
14
吉野 裕貴
1
FB
15
深谷 恭平
2



16
石井 伸明
2
17
佐藤 匠
1
18
前原 宗明
2
19
鶴田 泰祐
2
20
鈴木 勇太朗
2
21
藤代 達也
1
22
太田 啓翔
1
23
神村 賢
2
24
北 知典
1
25
秋谷 悠太
1
法政
明中
6
3
PG
DG
0
前半
36
5
3
PG
DG
0
後半
31
0
合計
67

交代
入替
前半16分
5 ⇒ 18
入替
後半11分
4 ⇒ 11