GAME09

全国大会都予選3回戦。相手は一昨年、花園出場を果たした強豪・成蹊である。同じ吉祥寺を本拠地として活動しているライバルであり、ここ数年は苦杯を飲まされている相手である。だがここに勝たなければ先に進めないし、逆に勝てば全国が見えてくる。何としても負けられない一戦である。ラグビー部以外の生徒もたくさん応援に駆けつけてくれた。いつものようにたくさんのOB・父母も集まってくれた。色々な人の思いを乗せて、キックオフ！

成蹊は立ち上がりから怒濤の攻めを見せる。
1分。SO今井のパント攻撃をいとも簡単にキャッチすると、モールを形成し押し込まれる。たまらずFWがもどったところで今度はBKへ展開。お手本のようなプレーで自陣深くまで攻め入られると、最後はFWがゴリゴリ前に出てきてトライを奪われる。０－７。
これを口火に、成蹊は次々と法政に襲いかかってきた。FWががんばり法政のFWにプレッシャーをかけると、人数を余らせた上で自慢の高速BKに展開し独走。法政がやりたいラグビーをそのまま逆に見せ付けられた。
4分、7分、12分、14分、17分、22分、24分、29分、と前半だけで9つのトライを奪われる。ほとんど全てが同じ形であった。

後半も試合展開は変わらない。法政もよく前に出て攻めるも、肝心なところでボールを奪われカウンターを食らうという展開が続いた。
2分、4分、7分、10分、11分、13分、17分、20分、24分、27分、29分、と後半も11本のトライを奪われた。
合計116点。6年半前、久我山に133点取られて以来の3桁失点であった。

でもよく戦った。誰一人諦めることなく、最後まで声を出し、ボールを追いかけた。
後半25分には膝を骨折しているCTB谷口もグランドに立ち、3年生8人全員でラグビーをすることが出来た。大量失点はしたが、誰一人君たちを笑うものはいないし、むしろみんなが感動していた。よくがんばった。

一年間、本当に色々なことがあった。辛いこともたくさんあった。でもみんなはそれを乗り越えて戦い続けた。これは高校生として、人間として、尊敬するに値することだと思う。特に3年生、一人一人に思い出がたくさんある。

小林修平
プレーヤーとしてはもちろん、主務としてよくチームをまとめてくれた。君がいなくてはチームの運営はままならなかったし、キャプテンをよく助けてくれた。

小池悠介
一度ラグビーを諦めかけたがよくもどってきた。ケガばかりだったが最後の一年間は誰もが認める頑張りを見せたな。出戻りはそんなに簡単じゃないが、君は逃げなかったよ。

鈴木遼平
私は君みたいな人物には初めて会った。何を考えているのか全くわからなかったが、一つだけ間違いないのは、誰よりもチームを愛し誰よりもこのラグビー部が好きだったことだ。

西勝重明
実力も人柄も素晴らしいが、一度こうと決めたらテコでも自分の意見を曲げない頑固者。でも君が全てに手を抜かない姿勢を示してくれたおかげで、チームにもがんばろうという雰囲気が生まれた。

井元翔太
副将としてよくチームを引っ張って行ってくれた。後半は肩のケガとの戦いだったが、決してそれを言い訳にすることなく個性派ぞろいのBKをまとめてくれた。

小池宏明
一番たくさん怒鳴ったのは君だ。でも小さい体からはみ出しそうなくらい熱い気持ちはみんなに伝わっていたよ。常に100％の自分の気持ちを大切にするすばらしい男だった。

谷口智規
一番口答えするくせに、一番人なつっこい性格の持ち主。ラグビー以外でも最もたくさん言葉を交わした選手だと思う。最後、万全とはいかなかったが、みんなと同じグランドに立ててよかったな。

玉川嘉文
偉大なキャプテンだった。この激動の一年をよく耐え、よく励まし、よく引っ張ってくれた。君がいなければこのチームはなかった。間違いない。本当にお疲れ様。今はゆっくり休め。

みんな本当にありがとう。みんなと過ごした時間は私にとっても宝物です。これからはOBとしていつまでもグランドに来てくれる先輩でいてください。お疲れ様でした。