GAME03

毎年恒例の法政大学ラグビー祭。大学はもちろん、中高も試合をしている。
我が一高は毎年二高との定期戦をおこなっているが、吉田主将率いる５２代以来、６年間二高に勝利していない。その間二高は花園にも出場し、一より二の方が強いという屈辱的なレッテルを貼られてきた。
しかし今年こそは勝利をつかみ、６年間の屈辱を晴らすのだという強い気持ちで、選手たちはキックオフを迎えた。

桜満開の法政グランドで、キックオフ！
まずペースをつかんだのは二高であった。一高陣に攻め入り、先制点を狙う。しかしここで相手の勢いを止めたのはWTB小池・FL澤井であった。彼らのナイスタックルで最初のピンチを脱する。
６分。一高は最初のチャンスをつかむ。相手陣３７m付近でPGのチャンスを得る。キッカーはLO関谷。しかし左タッチラインぎりぎりのポイントであったため、いかんせん角度がなかった。距離は十分だったが、惜しくも左に外れる。
８分。今度はFB木村が個人技で相手を抜き去り、自慢の快速で相手陣深くまで持ち込む。しかし一高はここで痛恨のペナルティーを犯してしまい、これも得点にいたらない。
１１分。再びPGのチャンスを得る。しかし今度も先ほどとほぼ同じ位置。角度のないところから正確に狙ったが、今度は右にそれる。しかし俄然一高ペース。
１３分。FWがゴリゴリ前へ出始め、ボールは相手陣深くからのラインアウトのチャンスを得たが、呼吸が合わず痛恨のミス。しかしHO遠山がナイスフォロー。そのルーズボールを奪い一気にゴール前へ。あと一歩のところであったが、さすがは二高。このピンチもしのぐ。攻めながら取れない嫌な雰囲気が漂い始めた時だった。
１４分。ついに均衡が崩れる！右中央ラインアウトからCTB楠原が相手ディフェンスラインの穴を突き突破。独走する。一人だけ残っていたFBと１対１になるが、楠原の右から味方の声が。澤井であった。楠原からパスを受けるとそのまま走りきりトライ！ついに待望の先制点を挙げる。７－０。
その後２０分ころまで一進一退が続いていくが、今度は徐々に二高ペースとなっていく。最後の数分間は攻められっぱなし。二高の強力モールにゴールラインに釘付けにされる。しかしNo.8吉岡主将を中心とした低いタックルで最後の壁は崩させない。見ていて涙の出るようなディフェンスであった。そして前半終了の笛。

前半の最後にすばらしいディフェンスでしのぎきった一高は、その勢いのままに後半怒濤の立ち上がりを見せる。
１分。左タッチライン際から再び３８mのPGを得る。ここまで同じような位置から２本外していた関谷であったが、チームメイトは迷わず関谷のキックを信じた。そして見事成功！１０－０。関谷の意地を見た。
４分。その後も怒濤のラッシュ。FW・BKですばらしいパスが何本もつながり二高ゴール前まで攻め込む。トライにはいたらないものの、その後も優位に試合を進める。
１０分を過ぎた頃から二高も盛り返してくるが、今度は右WTB谷口のナイスタックルなどでゲインを切らせない。
１５分を過ぎるとさらに二高の攻撃は厚みを増していく。さすがは花園常連校。強いFW・早いBKが一高ディフェンスを何度も脅かす。しかし一高は低いタックルとPR大濱を中心とした超強力スクラムでことごとく跳ね返す。この展開が繰り返され時間が過ぎていく。そして永遠とも思えるほど長かった後半が、ついに終了する。ノーサイドの笛が高らかに鳴り響いた。最終スコアは１０－０。一高ディフェンスは耐え切ったのだ！

ついに勝った。やっと勝った。この６年はとてつもなく長かった。我々にとって、ある意味花園へ行くことより勝ちたい試合だったのかもしれない。兄弟校でありながら各下と見られていた屈辱を晴らすことが出来て本当にうれしかった。そしてこの勝利をたくさんのOBや父母の前であげられたことが何よりうれしかった。たくさんのOBが泣いていた。みな同じ気持ちだったのだろう。この日の応援はいつにも増して大きく、選手はとても勇気付けられていた。一人でラグビーをしているわけではないことが心の底から実感できた日であった。
みなさん、本当にありがとうございました。これに満足することなく、関東大会、花園へと突き進んでまいりますので、今後とも盛大なご声援をよろしくお願いいたします！！