全国大会都予選トーナメント1回戦。
ついにこの日を迎えた。全国大会都予選。花園を賭けた戦い。三年生最後の大会。高校ラグビーに携わる者にとって、最大にして最高の舞台である。
チームのコンディションは万全とは言えなかった。主力PR野嶋がインフルエンザに罹患し出場できない。他にも怪我を抱えている選手が多くいる。そしてなにより、合同Cとしての活動は幾度となく重ねてきたものの、メンバーが全員揃ったことは一度もなく、チームとしてのコミュニケーション不足が大きな不安要素であった。
対戦相手は武蔵野東高等専修学校。近隣にあり昔からともに切磋琢磨してきた、仲間にしてライバルでもある。公式戦で当たるのは何度目だろう。本当に縁のあるチームだと感じる。
暦では既に秋だが、とてもそうとは思えないほどの気温。風も強く厳しいコンディション。そんな中キックオフのホイッスルが吹かれた。
前半1分。キックオフをキャッチした合同Cはいきなりのチャンスを迎える。No.8市野が得意のステップワークでDFを突破しゲイン。敵陣まで走り相手DFの手が迫ってきたところでフォローに走っていたFB井上へパス。井上は最後まで走り切り、ノーホイッスルトライとなる先制トライを奪って見せた。5-0。
10分。先制トライ後はお互いに落ち着きを見せ膠着状態が続いていたが、久しぶりに武蔵野東陣深くまで攻め込むと、最後はFWのピックゴー攻撃でトライを奪う。12-0。
15分。再び敵陣ゴール前。5mスクラムの大チャンスから、SO浦野がブライドサイドで自ら勝負。パワーでインゴールまで持ち込んだ。19-0。
17分。武蔵野東の反撃。DFラインのギャップを突かれ突破される。大きなピンチになったが、SH竹内がギリギリで相手を捕まえチームを救った。
20分。ピンチをしのいだ合同Cは一気に反撃へ転じる。外へ大きく展開すると市野が素晴らしいフォローでこのボールを受け取りインゴールまで走り切った。26-0。
22分。またしても合同Cの攻撃。ゲインを少しずつ重ねて、最後は竹内が左サイドへ飛び込む。
24分。ロスタイムにも追加点。スクラムのこぼれ球をPR関口が拾ってそのままインゴールへ。38-0。
ここで前半終了。
後半も合同Cのペースで試合は進む。
後半1分。練習してきたサインプレーがきれいに決まった。45-0。
このトライを皮切りに合同Cのトライが多く生まれた。
3分には関口、5分には井上がトライを奪う。この時点で59-0。
だが武蔵野東も諦めなかった。粘り強いアタックに対し合同Cはたまらず反則を繰り返す。ここから武蔵野東がアタックを重ね意地のトライを奪った。59-5。このチームは昔からそう。諦めない。心が強い。
その後はまた我々の時間帯。
12分に竹内、15分には左サイドで、18分には井上、21分にはキャプテンCTB太宰、そして24分には井上がこの日5つ目となるトライを奪い試合を終えた。
ノーサイド。
不安の大きかった初戦を快勝で飾ることができ、選手たちの表情は晴れやかだった。
後から聞いたところによると、武蔵野東も感染症の蔓延のために多くの選手が出場できず、試合前から非常に苦しい状況だったそうだ。他の多くのチームも似た状況だと聞く。学校内外を見渡しても学級閉鎖の話題で持ちきりだ。そんな中でも試合ができたこと、まだこのメンバーでラグビーが続けられることを感謝しなければならない。
試合後に部員たちに伝えたこと。我々は勝った。それは、負けてしまった武蔵野東の3年生を引退させたことを意味する。ここからは自分たちだけでなく彼らの想いも背負って戦わなくてはいけない。そうやって大会が進んでいくにつれて多くの選手たちが涙を流し、勝ったチームがその想いを背負っていく。勝ち進むごとに背負う想いは大きくなる。決勝戦や全国大会というのは、お互いのチーム同士だけのぶつかり合いではなく、多くのものを背負った同士の戦いになる、だからみんな懸命に戦うのだ。我々も、2回戦に向けてこれまで以上の想いを持って戦わなくてはならない。それが勝負の世界。それがラグビー。
2回戦に向けて最大の努力をしていこう。
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