全国大会都予選トーナメント2回戦。
対戦相手は明大中野だ。言わずと知れた強豪校である。この日のために準備をしてきた合同Dであるが、アクシデントもいくつか発生した。エースであるSO細井が先週の練習で利手の右手を骨折し、満足にボールを投げられない。期待の1年生WTB牧野も脳震盪の疑いで出場できなくなった。元々厳しい戦いであったが、更に厳しい状況となった。しかし今回のテーマは勝つか負けるかだけではない。強大な相手に「立ち向かえるか」が試された。今後の人生でもチャレンジする人間であるために、最後の笛の瞬間まで立ち向かってくれることを祈っていた。
マイボールでキックオフ。
このボールはミスキックとなり明中ボールのセンタースクラムとなるが、明中もエイタンでノックオンをし再びマイボールへ。ここからのアタックを素晴らしいテンポで展開する合同D。明中陣へと攻め入るが、さすがはシード校。速いDFで簡単には抜かせてくれない。
4分。自陣でペナルティーを犯すと、ラインアウトからモールを組まれる。このモールが非常に強力で止めることが出来ない。一気にトライまで持って行かれてしまった。0-7。
その後も明中は力強いドライブでゲインを重ねてくるが、合同Dも必死のDFで食い止めターンオーバーを奪う。
8分。再びペナルティーを犯すとラインアウトへ。そこからのモールを止めることが出来ず再びトライを奪われる。0-12。国立戦の再現のようであった。
11分。キックオフからDFのギャップを突かれ、ノーホイッスルで自陣ゴール前まで。CTB古瀬がなんとか止めるもそこからFWの連続ピックでインゴールに飛び込まれる。0-19。
13分。しかし次のキックオフはチャンスを生み出す。相手がノックオンしたところから一気に攻め込み、明中陣22mまで初めて攻め込む。ここで明中はたまらず反則を犯す。ゲームプランではDFでしのいで少ないであろうATチャンスではペナルティーゴールを積極的に狙って得点を重ねようと話し合っていた。いくつかトライは奪われたがまだ追いつく可能性はある。ショットを選択した。託されたのは古瀬。高校1年生時から毎日のように練習前にキックの練習をしていた。全員で納得して彼に任せた。約30mのペナルティーゴール。距離は十分であったが、無情にもボールはわずかに左にそれてしまった。
しかし依然明中陣で試合を進める。DFはよく前へ出ており大きなゲインを切らせない。
18分。またしてもラインアウトから明中のモール攻撃。今度はなんとか食い止めた。しかしそこからFWが近場を攻め続けて泰を奪われた。0-26。
20分。細井が怪我を押してタックル。ファンブルを誘うとCTB小林(雅)がそのボールを持ちカウンター。相手が寄ってきたところでDFの裏へ大キック。バウンドも味方すると細井がキャッチし、そこから連続攻撃。しかしここも明中のDFを打ち破れずトライには至らない。
23分。DFギャップを突かれトライ。一瞬の隙を突かれた。0-33。
28分。疲労もあってかDFのギャップが目立つようになってきた。ここもギャップを巧みに突かれると一気にトライまで持って行かれた。0-40。
そしてハーフタイム。
40点を差つけられた。少し下を向いている選手もいる。しかし、リーダーたちは諦めていない。多くのリーダーや3年生たちが改善点や励ましの言葉をかけ、再び前を向いている合同D。まだ立ち向かっている目をしていた。
後半0分。まだまだ立ち向かっていることを証明するかのような出だしを見せた合同D。マイボールのセンタースクラムからNo.8中原がビッグゲイン。明中はたまらずペナルティーを犯し、このボールを更にアタックにつなげる。合同Dの大型FWによるピック攻撃。ゴールラインまであと1mまで攻め込む。しかしここもギリギリのところは割らせない。さすがはシード校。こういう場面ではスイッチが入りギアが上がる。
その後はWTB奈良のナイスタックル等もあり引き続き明中陣で試合を進める。
9分。スクラムから得たフリーキックを間髪入れずGO!ここもあと一歩まで攻め入るも食い止められ逆にターンオーバーされてしまう。
13分。FB小林(良)が2回連続で素晴らしいタックルで明中の突破を食い止めれば、LO小村もnice tackle。
試合が膠着しだしたところで、BKによるキック合戦へ。このキック合戦を制すると一気にゴール前5mまで攻め込む。
23分。そしてついに実った。FL三宮がブラインド側のギャップを見つけると、突破!一気に30mゲインする。明中FBがカバーに来るも、三宮の外には更にフォローに走る小村がいた。三宮から小村へと渡ると、小村はインゴールの左隅へと飛び込んだ。トライ!ここまで耐えに耐え、ついに明中のゴールをこじ開けた。後半23分にして両チームにとって後半初得点であった。それだけ走り続けた時間だった。5-40。
ここでLO野澤がin。法政は3年生全員で戦う。
しかしこれまで必死に走り続けてきた合同Dの足が止まり始める。疲労に加え、強大な相手に対するプレッシャーからいつも以上の消耗があった。タックルやオーバー1つとってもいつも以上の力を必要としていた。
25分、28分、29分と、一気に3つトライを奪われた。
そしてノーサイド。
5ー68。
数字だけ見れば惨敗である。
しかし、最後まで立ち向かう姿は間違いなくこのグランドにあった。誰がなんと言おうと君たちはかっこよかった。胸を張ってご両親に報告して欲しい。俺は私は最後まで高校ラグビーを全うしたと。
これで3年生は引退となる。本当にお疲れ様でした。法政の3年生は9名。選手7名マネージャー2名だった。彼らには男子の先輩部員がいたことがなく、入学したときから常に最高学年の男子部員だった。舞と典子が色々と教えてくれたが、チームのために身体を張る先輩、ラガーマンとしてラグビー憲章に書かれている5つの基本理念を、身をもって示してくれるプレーヤーとしての先輩に、飢えていた。道に迷ったとき、どちらを進むべきかを全て自分たちで決めなくてはならない3年間というのは、想像以上に難しいものだっただろう。
だが、今の君たちには後輩がいる。高校も中学も今年は新入部員が入ってきてくれた。彼らは君たちの背中をずっと見ていた。そして3年生として、リーダーとして、最高学年として、覚悟を持ってラグビーをするという姿を見てきた。その姿は、やがて彼らが最上級生となったときに必ずや指針となるものだっただろう。多くのものを残してくれた3年生、本当にお疲れ様でした。
ありがとう。
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